レミーのおいしいレストラン


Abondanceさんに「料理人は全員見るべきだよぉ」と言われて観てきました、「レミーのおいしいレストラン」



初めてディズニー・アニメを見たのは確か「101匹わんちゃん」だったと記憶しています。その当時の日本のTVアニメーションは一つのシーンに口だけが動くような30分ものしかなくて、ディズニーアニメのあくまで滑らかな動きを観て子供心にも同じアニメとは思えないほどの違いにビックリしたものでした。同じようなカルチャーショックを「レミーのおいしいレストラン」に受けて、時代を一気に飛び越えたような気がしたのです。映画館で一度も見たことがなかったCGアニメの世界はすでにこんなところまで来ていたのですね。背景や小物、この映画では特に重要な料理などは、限りなく本物の映像に近く再現され(もしかして実写したものをコンピューターでアニメ化してるのではないかとおもうような)主人公や思い入れのある自動車などはあくまでマンガチックに描かれています。しかも人の表情はどんな名優にも無理・・・と思えるほど豊かに現れているのです。宗達舞楽図屏風が大胆に省略化された背景と微細に描かれた個の対象物の対比で出来ているのと逆ですが、その潔さはまさに通じるような気がします。


昔からの映画ファンは未だに映像総CG化の傾向にどこかで疑問を感じているのですが、ここまでのものを見せつけられれば、少なくともCGアニメとアニメーションは別の映像媒体であることを認識しなくてはいけない事実をはっきりと突きつけられたような気がします。すごいのはCGアニメは常に発展し続け、データは確実に蓄積されとどまることを知らないのです。たとえば、新人俳優には到底無理な顔の表情だけで表す心理描写も、一度開発されたソフトさえあればCGアニメでは再現することが可能になってしまうのです。もうCGがいいとは悪いとかは議論するする時代ではありません。人々を感動させる力があるかどうかは表現手段の如何に関わらないと考えなくてはいけないのでしょう。


ストーリーについて書きたいことももちろんあるのですが、まずはCGアニメを初めて知った驚きを一言。


邦題も「ラタトゥイユ」でよかったのにね。