読書感想文


何が嫌いって学生時代の読書感想文ほど嫌いなものはありませんでした。


原稿用紙二枚がどれほど高いハードルであったか。読みたくもない本を読まされ、わけのわからない内容に四苦八苦し、感想文は一行も書けずに、あとがきや評論の文章の抜粋して、原稿用紙の升目を埋めるだけを目的に辻褄を合わせた昔を思い出します。あのころを思い浮かべると今、毎日文章を書き散らしている自分など想像も出来ません。


息子が親の過去を後追いするように、夏休み終了ぎりぎりになって教科書の漱石の「こころ」で感想文を書かなくてはいけない・・・とあせっていました。


夏目漱石「こころ」  これほど国語の授業が面白かった経験はありません。この授業がなければ小説の奥深さと面白さを知らずに一生を過ごしたかもしれないと思うほど、当時の○○先生の「こころ」の授業は充実していました。中身は先生の遺書の部分、「私」とKとのお嬢さんを巡る葛藤とKの死。Kを自殺に追い込んだ心の動きとその時期をディスカッションで考察していく2〜3時間の授業は白熱して今でもその躍動を思い起こせます。


35年を経ても高校生の教科書には「こころ」の同じ部分が掲載されています。今の世代の高校生はどのように感じるのでしょう、漱石。読書感想文はその後も嫌いでも漱石は座右の書となり私の20代は常に漱石がそばにありました。息子と一緒に再読してみようか。