プロの実力


取材をしていただいて店のことを書いていただく時、「店のウリを50字以内で紹介してください」などと言われる時、または店のパンフレットを作成する時、短い文章で店の特徴を表現するのには限界を感じていました。


「四季折々 選んだ食材をてらいなく調理します」「日本酒 ワイン 焼酎など厳選したお飲物を」


確かにそうありたいと思ってはいますが、同様のことはどの店でも同じようにしていることです。



サイトを開設して日記を書き始めたのは、短い文章では表現できない料理店としての料理やお酒、サービスその他諸々への思いを板前の日常に絡めてお話したいと思ったからでした。幸い、長い時間をかけた日記を読んでくださっている方々は一見でお越しいただいても店のことをずいぶん理解してからお越しいただけるようになって、当初の目論見は大成功といってよかったと思っています。



先日「静岡酒が飲める店」というお題目で地酒ライター鈴木真弓さんが取材をしてくださったことを書きました。さすがに静岡酒のエキスパートだけあって、私のお話しする程度のことは簡単なメモをとる程度で理解してくださっていたわけですが、出来上がった記事を拝見して驚きました。プロの実力を見せつけられた感じ。取材対象である静岡酒をを深く理解していることはもちろんのこと、短いインタビューで私の日本酒に対する心入れを的確に理解してくださり、たったサイト1ページ分で「こうありたい」という店の志を表現してくださっているのです。「毎日の日記で短い文章では表現できないことを・・・」をたった1ページでまとめて書いちゃうのです。8年も続けてきた日記の意味は??どこへ??店全部のことでも彼女のペンにかかれば5ページもあれば十分かもしれません。


さらにすごいのは、100件以上あるこれまで取り上げてきた店の記事を拝見すると、すべての店に分け隔てがないこと。素人がボンヤリ読んでいればどの店が優れていて、どの店は・・・という比較が容易でないほど、各店の長所を見つけ出して均等に書くことに徹しています。素人グルメ評論家が言いたい放題に批判することで自身のアイデンティティーを認めさせようとするのとは対極をなすような仕事を見せつけられたような気がします。


これがプロの仕事なんですね。