netなんて信じない


昨日は休日を利用してお酒の仕入れに出かけてきました。とうちゃんかあちゃんだけの家族経営でよくこれだけレベルの高い品々を揃え、品質を管理しておられるものだと、訪れれば必ず感嘆の思いでたくさんの種類を頂戴してきます。とうちゃんかあちゃんが地道に各蔵とのお付き合いを密接に続けられ、それがさらに次世代に受け継がれているのです。


若い世代はnetを使ってこまめに情報を発信されてもいますので、欠かさずそれも拝見もしているのですが、貴重な品々を頂戴するにはやっぱり時間がかかっても出かけていって、顔を見て、それぞれのお酒にまつわるお話を聞きながらいただいてこそ価値があるのです。そこにはnetで検索しても「売り切れ必至」の日本酒も、「なんでこんなところにこんなすごいのが!」のワインもごろごろしているのですが、価値を理解できない人には目の前にあるお宝もただの日本酒ただのワインなのです。


さらにきちんとしたお付き合いができる人間にだけ奥のほうから現れるシロモンも当然あって、それらは電話一本で「○○ください」や一見で「○○があるって聞いたんですが」と訪れる輩では分けていただけない垂涎の・・・ってヤツです。「垂涎のヤツ」は手を合わせるようにいただいて、店のお客様にもお酒の素晴らしさを理解していただけそうな方にだけお出しします。そうやって、netでは3-4倍のプレミア価格が当たり前のお酒や、年間100-200本程度しか造られない日本酒の数々が真っ当な価格でずらりと冷蔵庫に用意できるわけですから、「板前のお奨め」に耳を傾けないのはお宝の前を素通りするようなものなのです。


酒屋さんでも料理屋でもnetで「○○=×□円」だけでは得られない手仕事のお酒が、人々の思いも込めてお客様の喉を通っていきます。「ワンクリックで即注文」ではないのです。



仕入れ帰路の途中での昼食も楽しみの一つです。今回も友人にお奨めの店をいくつかあげてもらいその一つに出かけてきました。訪れた洋食屋さんは当然のように美味しい。グルメ情報サイトの検索や素性のわからない素人グルメサイトのお奨めでは「当然のように美味しい」はありえません。ここでもnetの情報よりもその舌を信用している友人のお奨めほど確率が高いものはないのです。



お酒も食材もおいしい店情報も、自分の専門分野になればなるほど、netにあふれる情報はゴミばかりのように見えて仕方ありません。




お客様によく「どこでこういうお酒入手するの?秘密?」と尋ねられます。「いえいえ、全然秘密ではありません。いつでもお教えしますよ。但し、同じものが同じようにいただけるかどうかはわかりませんよ」とお答えします。お奨めの酒屋さんをこの日記で紹介するのも簡単なことなのですが、ここでもnetはあまり信用していません。信頼している店は信頼している方にだけお教えしたいのです。情報だけに群がる輩で迷惑がかかってはいけませんから。