ターニング・ポイント


日本酒好きは「日本酒こそ世界に冠たるお酒だ。ワインなんて目じゃない」とおっしゃり、ワイン好きは「ワインこそ食中酒の王道である。第一歴史が違う」とおっしゃります。


私は両方とも分け隔てなく好き・・・というより、造り手の気合が見て取れるお酒はどんな種類でも頭を垂れて拝むようにいただくだけです。



あるお得意様はともかく日本酒のみ、「白ワインってすっぱいヤツしか飲んだことないから」と目も向けてこられませんでした。ところが先日「これだけワインがあるんだから一回くらい飲んでみようかなぁ」と10年目にしてとうとう白ワインをご注文してくださいました。


責任重大です。


ここでただのすっぱいヤツと思われてしまったら、二度とワインの道には入ってこられないかもしれません。


有難いことに予算もおまかせをいただきましたので、セラーの中で悩むこと数分。選んだのはミクルスキーのムルソー2002です。ムルソーの選択としてはかなり若いワインですが、2002年は若くてもポテンシャルが高さを発揮している数少ないビンテージの一つです。かえって1997年の熟成感や1996年のコストパーフォーマンスの理解に比べると、値段と味わいのバランスがわかりやすいですし、ともかくふくよかで一口目から美味しいと感じるワインという印象です。


一口飲まれて「わぁぁ美味しいじゃない。こんなの初めて・・・」と顔いっぱいの笑み。胸をなでおろします。


これでワインへの突破口ができたお客様がまたひとり。ありがたや。