金子正宏さん最後の徳利

clementia2007-06-07




趣味の店や豪快な料理を信条とする料理屋さんでしたらざっくりした厚手のガラスも素敵ですが、私が店で使う冷酒の徳利は繊細でやさしいガラス器が好きです。お出しするお酒も上品で華やかなお酒ばかりですから、蔵元の心意気を伝えるためはそれに見合った器でなくてはなりません。


そうして出会った京都の作家金子正宏さんの徳利は店のメインになるガラス徳利でした。有難いのは欠けたくらいの傷ですと修理もしてくれたことです。


ところが残念なことに5年ほど前に金子さんが病に倒れられ手先の仕事が全く不可能になってしまいました。ただでさえ壊れやすいガラス器、新作はもちろん修理もあてにしていたのに今は欠けたら廃棄しなくてはならなくなってしまって数は減るばかりでした。


先日、金子さんの最後の作品を並べた個展が開かれて、金子さんを私に紹介してくださったアート・ノルネさんが徳利を集めてきてくださいました。金子さんの器を使えるのは多分これが最後です。大切に使わなくては。