待ち時間


昨日ひとりですべてをまかなっている店のランチで、料理が出るまでに小一時間待ったお話をしました。あなたならどれくらいが待ち時間の許容範囲でしょうか?


牛丼のお店やカレーの専門店であればあっという間に料理が出てるのは当然のことですが、立派なお足を頂戴する料理であればお客様をむやみに待たせないことも値段のうちに入っているように思います。お客様を待たせないための調理場とサービスのスタッフの数を確保してあることは大切なことです。どれほどお料理が美味しくても、注文から最初の一皿に三十分以上かかってしまったり、一皿と一皿の間隔が一時間近くかかるとお客様の気分はイライラッとしてしまいます。


私ン処では90%以上のお客様が予約をしてくださいますので、予約時間に合わせて調理の段取りをすることがとても大切です。さらにサービス陣と調理場はできうる限り連絡を密にしてお客様の召し上がり具合にあわせたテンポにしています。お酒量やお話の賑わい具合でも料理のスピードはかなり違いますから、サービスはお客様ごとに書かれた献立に料理の出た時間を記入し、調理場に「お造りあと五分ほど待ってください」とか「○○さまはお酒を召し上がりません」などという情報を逐一調理場に連絡します。調理場でも調理前にお得意さまであれば普段のペースを確認しあうことも忘れません。時に5-7品の料理をお出しする時間が倍以上違うことも間々あるほどお客様のお召し上がりペースというのは違うものなのです。


理想的にはお客様に「待たされたな」という感覚も、「料理が早すぎたな」という感覚も持たないような自然な流れであることが重要なのですが、この「自然であること」のハードルはとても高いのです。私が憧れる名店のすべては「完璧に自然」でありました。その影には私の想像する以上の心遣いがなされているに違いありません。