日本酒の時代


ちょっと前に日記にtetsuさまがこんな風にコメントしてくださいました。



「発酵のメカニズムが詳らかになり、人間の味覚に対する理解が深まり、技術が進歩して、今が一番美味しい日本酒が飲める時代だ。と醸造学の先生が力説していました」


まさに我が意を得たりです。日本の歴史始まって以来今ほど日本酒が美味しい時はありません。「昔の○○はよかった」というのは99%戯言です。



お任せでお酒を数種類選ばせて頂き、料理に合わせながらお出しすると


「日本酒ってこんなにバリエーションが豊だったんですねぇ」とか「日本酒ってこういうモンだったんですねぇ」とおっしゃっていただくことがあります。



こんなに日本酒が美味しい時代、味のヴァリエーションが豊かな時代に日本酒を経験しない手はないではないか!大きな声で言いたい気分です。


「翌日残らないから」とか「適当にボトルで持ってきて・・・梅干もね」とか「辛口でなきゃだめだよ」とかいう基準でお酒を頼んでしまうと、お宝の山を前にして目の前の一個のガラス玉にしか目を奪われていないようなもったいなさを感じます。


自分の好みや以前の美味しかった経験も大切ですが、ほんのちょっとだけ「私のお奨め」にも虚心を持たずに耳を傾けてくださると新たな世界が見られるかもしれません。


食品が経済効率と利潤追求の目的のために「生産」されるものとなって世の中にあふれる時代、手仕事の食品や料理の美味しさは片隅に追いやられつつあります。ワインも同じようにグローバル化の波にさらされていますが、日本酒の世界では未だ手仕事のいいものだけが評価される厳しさが残っています。今消費者が日本酒業界を大切に育て評価する心意気を持てば、経済性だけでない美味しい日本酒が生き残って文化として育てられるかもしれません。キーポイントは飲む側にあるのです。