私たちだけの本


本の装丁というものに興味を持ったのは鈴木成一さんの仕事を知ったときからでした。


それまで、普段何気なく買っている本に「装丁○○」と書かれているのを見ても、「ブックデザイナーの名前がなんでこんなに目立つところに書かれているんだろう?」と仕事の重要性に無知だった私には不思議でした。ブックデザインというのは表紙のデザインだけをやればいいという単純なものではなかったことを知ってからは、本全体から見える顔立ちのセンスも私には大切な本選びのファクターになりました。



お得意様に本作りを趣味にされている方がいらっしゃいます。自身が参加されたワイン会を記録した本を見せていただいて、装丁だけでなく、写真、文章、デザイン、製本まですべてをご自分のセンスで美しくされているのは圧巻でありました。


この方がこの日に再会した友人とのいっしょにお越しいただいていました。お話は、プライベートのことゆえさらりと書いたのですが、こんな経緯の奇跡の再会でしたから、その夜は仕事ヌキでこの上なく楽しい時間が過ごせました。それを間近でご覧になった件のお得意様が、その再会の夜を本にしてくださってプレゼントしてくれたのです。





こんな素敵なプレゼントは初めてです。








その日に召し上がった料理とお酒の数々





そして、二次会でのジャズ三昧


再会の思い出は記憶に暖かく残るだけでなく、姿も美しく(実物以上に)「形」として残りました。


さらに、その内容は「巷の編集者、ライター、フォトグラファーもこうあってほしい」と思うほど、店のもてなしの心を120%以上理解してくださっていることがよくわかります。私自身はその夜、料理やお酒にこと細かく薀蓄を述べているわけではないのに、言外の心意気を完璧に汲み取ってくださっているのです。料理人冥利に尽きるではありませんか。


しかも、この本は東京からこれ以上はないプレゼンターに運ばれて手渡されました。手仕事の綿密さ美しさ、そして心遣いの温かさ。珠玉です。




再会のお話は有難いことに相方のブログにもこと細かくこの日からこの日まで三回にも続けて書かれていました。こういう時間を作れたことが幸せです。