リアルクローズ


渋谷109とかエビちゃんとかモエちゃんという存在はもちろん知っていたのですが、今の若い女性向けファッション業界の激変は、ただの流行では片付けられないムーブメントがあるようだ・・・というのを、先日のNHKTV番組「東京カワイイ★ウォーズ」 で初めて知りました。


リアル・クローズというのだそうです。「いわゆる、有名ブランドのファッションショーでモデルが着ているような”こんな服誰が着るの!?”と言うような奇抜なデザインではなく、実際に街中で着れるような実生活で使える洋服のこと」


オジサンから見れば「リアル・クローズ?・・・当たり前じゃん」と思うのですが、対極に位置するモードとリアル・クローズの壁が大きいことを実感していませんでした。


紹介される番組では、大人気のカリスマモデル“エビちゃん””モエちゃん”。販売絶好調のファッションビル“渋谷109”。2万人近い女の子が熱狂するファッションショー“東京ガールズコレクション。いまファッション界で人気を集めるものに共通するのは女の子たちの「かわいい」という声であるといいます。


製品の品質やブランドのネームバリューより、「かわいい」と感じたものをその場で消費するようになった女の子たち。そんな女の子たちが消費者代表となったファッション業界では、いま、長年のファッションショーを頂点とするファッションの作り方や売り方を根本から問い直すような変革が始まっているのだそうです。アパレルのプロを排除して企画されるデザイン。年々短くなる流行サイクルに対応するための超ハイスピード生産。実際の店舗を持たず、24時間女の子の消費をキャッチするネット販売の出現…。こうした動きに対応できなければ、たとえ老舗といえども生き残りは困難になり始めています。数々のアパレルの名門が、いま女の子たちの「かわいい」という評価を求め始めたのです。さらにパリコレに遅れをとる東京コレクションも、従来のモードにしがみついていることに気づき、“東京ガールズコレクション”の「リアル・クローズ」「かわいい」との融合を考え始めています。若い女性の「かわいい」のエネルギーはモードを凌駕し日本ならではのサブカルチャーに育ち始めているのです。


このムーブメントに熱狂するのは若い女性の世代だけ・・・ととらえていては時代を見誤りそうです。ファッションの業界では「ホンモノは生き残る」「最終的に評価を得られるのはいいものだけだ」と考えている世代が、これから先、生き残っていけるのでしょうか。「旬は二週間」と言い切る流れの速さはヤッツケ仕事でしかない・・・と思うのは、古い時代の価値観しか持ち合わせ世代の言い訳になってしまう恐れはないのか?同じように食の世界でも「本物志向」に固執している私の世代が、netを媒体とした新しい世代のムーブメントが起きたときにそれを正当に評価できるだろうか?・・・と慄然とする思いです。周りを見たら同類相憐れむ年寄りだけしかいなかった・・・では洒落になりません。