枝豆のあり方

clementia2006-09-23



チェーン店の居酒屋さんで「枝豆頂戴」と食べる場合と、私ン処の店のような店で前菜の「枝豆」を期待する場合では求めるものが全く違うはずです。


居酒屋さんで中国産冷凍の枝豆が出てきたからといって「冷凍じゃないか」とクレームをつける人はいないはずですが、私ン処で冬場に冷凍の枝豆が出てきたらそのお客様は二度と来店してくださらないでしょう。


同じように、今では夏であろうが秋口であろうが、地物であろうが採れたてであろうが、枝豆を前菜につけて、「旬の枝豆でございます」とお出しする勇気はありません。


30年前でしたら、地物の枝豆を使うことは一つのステータスである時代もありました。25年前でしたらマメの両端をきれいに切りそろえ粒が全部きっちりそろった枝豆をだすことも「あり」でした。20年前でしたら、枝をわざわざつけて野趣あふれた茹でたての熱々を出すことも「正解」でした。10年前でしたら、山形産のだだちゃ豆を手に入れて出せることは格が一つ違うと思われました。5年前・・・・もう「枝豆です」と出すことはしなくなっていました。


枝豆一つとっても食材は刻々と変化し、お客様が「料理屋ならでは」と思ってくださるレベルもどんどん上がってきています。どの時代でも私ン処なら、お客様が自宅では食べることが出来ない料理屋らしい趣向でなければお足を頂戴できません。だだちゃ豆でさえ今では山形だけでなく地物でも作るようになり、地物黒豆の枝豆も当たり前に素人が入手可能になりつつあります。



で、
一般の方が「枝豆は夏」と思っている中、この時期にだけ丹波産黒豆の枝豆「紫ずきん」の粒ぞろいを前菜に添えるのが、最近のやり方です。軽めに塩茹でにし、焼き枝豆にしました。でも食材に興味のある方でなければ「あれ?この枝豆なに?」とは思わないかも。むっちりぷっくりこんがり香りのいい枝豆なんですが。。。だめ?