不思議な関係


接点のない店のお客様同士が友人関係として繋がるというのは、たとえば居酒屋のカウンターで意気投合して、などという場合にはあったのかもしれませんが、その輪が広がっていくというのはこれまであまり考えられませんでした。


考えてみれば、これまでの店と客との関わり方からみれば、全く不思議な集まりです。


週末に集まった10名弱のお客様はもともと私ン処のお得意様たちであった方々ですが、各々の接点はもちろん全くありませんでした。きっかけは今はもう閉じられてしまった弁いちサイトの掲示板でした。掲示板の中でお互いがお話をし始め、「んじゃ、今度日本酒の会のときにお会いしましょう」・・・みたいな感覚で、プチオフ会で直接面識ができ、さらに掲示板でお話が進み親密になり、でも大人の節度はキチンと守り・・・・今度はワイン会、次の日本酒の会でも・・・と進むうちに仲良くなった皆さんです。


店のホームページがあり、私の板前日記を読んでくださり、その内容に反応して掲示板に書き込みをしてくださり、掲示板の常連になり、お互いが私を介さなくてもお話されるようになり・・・というのは、net社会でなければありえなかったことです。さらにnet情報があふれる中でも、net匿名に頼ったヴァーチャルで希薄な人間関係ではない、netをあくまで手段として有効に使える人を思いやる心を持ち合わせた方々が自然発生的に友人関係を結んでいった、店にとっては宝物のような集まりなのです。



今回は、「ワイン会なんていいですねぇ、でも親方に迷惑かけないように持ち込むなんてどうでしょう・・・」というあるお得意様の一言から始まりました。一本を分けられる人数で考えると10名以内、自然に言いだしっぺの繋がりからメンバーが決まりました。もちろん全員がワイン・ラバーですから、持ち込まれるワインも私の楽しみの一つです。


集まったのは、クリュッグ1995 ダヴィット・レクラパール(レコルタン・マニュピュラン・シャンパーニュ) ビエンヴィーヌ・モンラッシェ1999(フルレーブ) リッシュブール1998(DRC) シャトー・ラトゥール1996 南仏のワイン、ソーテルヌとポート(名前を失念)  


私がお出ししたのが、久保田得月1994 十四代純米大吟醸播州山田錦 リッシュブール1993(グロ・フレール・エ・セール) ニュイサンジョルジュ1997(メオ・キャムゼ)


お料理には初物の松茸も加えて。。。。



めったにお客様の二次会にお邪魔することのない私ですが、このメンバーが集まるのなら「私が」楽しみたくてイソイソと仕事を早めに切り上げて二次会へお邪魔しました(二次会ではコル・デストゥルネル1990)


集まった方々の会話はいつもと同じようにときに穏やかにときに賑やかに、若い連中が見ればまさに「大人の集まり」なのでありました。