ながーーーいお付き合い


今乗っている車が12年目になります。お金のめどがつけばいつでもいくらでもいい車に乗っては見たいものですが、自転車操業の小さな小さな料理屋ではそんなことは言ってはいられません。


それよりも、長いお付き合いをしていた車屋さんが止められて、安心して車すべてを任せられる処が未だに見つからないというのも、次の車に踏み切れない大きな原因です。


今の車をお世話してもらっていた車屋さんからは、それまでにも三台の車を購入し、きめ細かなメインテナンスを施してくれていました。高速道路でエンジンベルトが切れてしまったときも、すぐに駆けつけてくれましたし、山奥に川遊びに出かけてトラブルがあったときも時間を惜しまずに助けに来てくれました。そんな車屋さんが止められて、仕方なくその車の正規ディーラー店にその後のケアをお願いしたのですが、それまでかゆい所に手が届いていた身には正規ディーラーのサービスの粗雑さが目に付いて辛い思いをすることが多くなっていました。5年もたては新車に替えるのが当然、10年も乗れば十分でしょう・・・というのが見え隠れします。



極めつけは、半年ほど前から後部座席のウィンドウが時々作動しなくなっていたのが、梅雨を迎えすぐに開いたまま閉まらなくなってしまったことでした。ディーラーに持ち込むとモーターを変えるために20数万円はかかるとのお話。そろそろ車の各所に無理が来てもいましたからいよいよ変え時かもしれないと思い、「とりあえず雨が入らないように作動しなくても閉めて置いてください」とお願いしたのですが、帰ってきた車にはウィンドウを固定するために茶色いガムテープが張られていました。「これしか方法がない」と。さらに他の箇所を点検するためには代車待ちに1週間かかるというお話です。


古い車だから仕方がないのか?もう直らないのか?



いよいよ車好きの友人にいい車屋さんをと紹介してもらい、新車中古車を含めて相談に伺いました。


話が進むうちに
「あのガムテープをはった窓じゃぁこまりますよね。新しい車の前にまずあれを直しましょうか」と。


現れたのは以前お世話になっていた車屋さんにいたチーフメカニックの方でした。工場に入れて15分ほど。あっという間に窓はガムテープがとられもとの形に戻っています。


なんで?技術の違い?やる気の差?



「これで一応梅雨はしのげますが、時間を見ていただければエンジンもちょっと見てみましょうか。少し点検したほうがいいかもしれません。代車はすぐに何とかしますし」


ディーラーの悪口も技術の稚拙さもなにもあげつらうことなく、職人らしい仕事をニコニコ淡々とこなしてくれました。



これ一発で「ここなら長いお付き合いができる・・・」と確信してしまいました。


なおざりな仕事で、新車を買わせるつもりであったろう正規ディーラーの車には二度と手を出したくなったのに比べ、こまめなサービスと真面目な仕事で、「これから何台もお世話になろう」と、人の気持ちをがっちりつかむ職人気質。車を売って利益をあげようとする営利至上主義よりも、「車が好き」が見える真面目な職人仕事にイチコロの私でした。