ジャコメッティ(追記あり)

clementia2006-07-06



ジャコメッティの作品のいくつは見たことあったのですが、先日の「新日曜美術館」(NHK教育)のジャコメッティの特集はとてもわかりやすく解説してくれたいい番組でした。


アートは論ずるものではなく、見て感じるものである・・・と言われ、美術評論を毛嫌いする人もいるのですが、今回の小林康夫さん(東大教授)の読み解いてくれたジャコメッティの創作の深遠は、私のような審美眼のない人間が作品を見ただけではとても届くことの出来ない深いもので、初めてどうしてあの針金のような造形やど正面からの迫力が生まれ出てくるのかが理解できました。


彼の彫刻を見てアートとしての迫力を感じることは出来ても、どうしてあの姿でなければならなかったのか、「見たものをそのままに」といいながらモデルなど必要のなさそうな細い姿や、鼻だけがやたらと長い顔でなければならなかったのかは、彼の考える人間の存在の永遠性への深い考察とその表現を知らなければ理解できませんでした。思索の過程がアートとして存在していることは1970年代、森有正に傾倒していた私でしたら思い至っても、今の私には抜け落ちてしまった感覚です。それを思い起こさせてくれただけでも大きな収穫でした。


葉山の展覧会には行けそうもありませんが、8月の神戸は大阪での用事に重ねて見に行けそうです。ジャコメッティの見方が全く変わるかも。