アンヌさんのリッシュブール

clementia2006-07-04



アンヌ・グロさんはブルゴーニュ ヴォーヌロマネ村の名家、グロ・ファミリーのひとりです。 おじい様のルイ・グロ、その息子のジャン・グロとフランソワ・グロ。そしてフランソワの後継者がアンヌです。


グロ・ファミリーの作り出すワインはどれをとってもブルゴーニュワインファンには垂涎のボトルなのですが、ミシェルとアンヌのワイン群は私には特別な存在です。中でも最上級のリッシュブールは店のワインリストで光り輝いて見えます。田舎町の日本料理店ではDRC、ルロワでは高価すぎて手が出なくてもアンヌのリッシュブールだったらなんとかリストに載せられるような気がしたのです。


とはいえ、アンヌのリッシュブール1995を購入した当時は、ワインブームのおかげでやっと日本料理店でも赤ワインが売れるようになり始めた時代です。実際にはグラン・クリュが売れたとしても、クロ・ヴジョやエシェゾークラス。リッシュブールはその当時でも和食屋が自慢げにリストに載せるワインではありませんでした。しかも1995年はアンヌに代替わりしたファースト・ヴィンテージで、和食的飲みごろには最低10年は熟成が必要なワインです。


「売れなくてもいいや、自分で飲んじゃうから」


ワイン・ブームは終わり、1995年、1996年というビックヴィンテージが飲み頃を迎え始めた今、ワインはブームのときのようには売れなくなりました。でも、正真正銘のワイン・ラバーはちゃんと生き残ってくださいました。




先日、「自分で飲んじゃえ」と思っていたアンヌ・グロ リッシュブール1995をお得意様が開けてくださいました。リッシュブールはその名のとおり果てしなくリッチで、私の一生の記憶に残るような素晴らしいワインに成長してくれていました。以前に飲んだアンヌさんがお父様フランソワのワイン造りに始めて参加した1988のリッシュブールと、実質的なファースト・ヴィンテージ1995を極東の田舎町の場末の和食屋で、感嘆のため息をつきながら楽しんだくお客様がいることが心の中でちょっと自慢にしたいワイン話です。


リッシュブール、アンヌさんに神様手助けをして創ってくれたような偉大なワインです。