料理現場の美しさ


地方局の情報帯番組で、毎日の晩ご飯の参考になるような料理を紹介しています。料理学校の講師だったり、料理店のご主人だったりが料理を披露しているのですが、見せるべきカットの周りがいつも乱雑であることがとても気になります。


講師の責任もありますが、番組スタッフと、助手の仕事がきめ細かく出来ていないからなのですね。料理店の現場でもそうですが、仕事のできる料理人は100%自分の周りがスッキリときれいです。料理をするのと同時に片づけながら、整理しながら仕事を進めているのですね。TV上でも仕事が乱雑な料理人の料理はどうも説得力がないような気がします。


試しにNHKきょうの料理」を見てください。講師のレベルが高いこともあるのですが、画面に映るカットの中に余分なもの、乱雑なものはほとんどありません。鍋も必ずきれいです。まな板、包丁、布巾、すべての料理器具が使い込んでいるのに切れに磨き上げられています。講師だけでなく、番組スタッフの意識が高いのですね。料理の仕事場の理想はこうあるべきです。


地方局のグルメ番組で紹介される店の調理場も同様です。調理場が美しくない店、鍋が磨かれていない店、包丁の柄が汚れている店に美味しい店は稀です。コンロの周りが汚れていたり、ステンレスにべったりとアルミホイルが貼り付けてあったりするのを見ると、それだけでマイナス10点くらいに感じてしまうのは、ほとんど職業病のようでちょっと悲しくもあります。




最近、雑誌、特にグルメ系、料理系の雑誌を購入することがとても減りました。次から次へと強迫観念でもあるかのように新しいけどこねくり回した料理と、新装開店の料理店を取り上げ続けるのをいちいちチェックするのにくたびれてしまったような気がします。


その中で、今でも変わらずチェックするのは雑誌「きょうの料理


直接店の仕事に役立てるつもりではないのですが、料理の発想の仕方や、お惣菜のヒントなどなど、節度を守った高いレベルを常に維持している雑誌です。気になる料理はスクラップして、店の若いもののお惣菜にも使われてとても重宝したりもするのです。地味ではありますが、あの番組の製作能力はとても高いと感じられます。