お酒の好み


お客様のお好みを推し量るというのはとても難しいことです。




「辛口ください」


よくあるパターンです。


天狗舞大吟醸「中三郎」をお持ちすると、
「甘いなぁぁ。もっとすっきりしたやつが好きです」とお客様
「たとえば普段はどんなお酒がお好みですか?」と私
菊姫みたいにすっきりしたお酒が好きです」


「・・・・・・」


菊姫のどのボトルをとって「すっきり」とおっしゃるのかはあえて聞いてもしかたありません。天狗舞「中三郎」が甘くて、菊姫がすっきりしているのか????お客様の舌は推し量れません。


さらに同席の別のお客様の注文で「磯自慢純米大吟醸」をお持ちすると


「こういうの、こういうの、こういう辛くてすっきりしたやつがいいです」


さらに「????」疑問符はたくさんになります。私の舌の基準が馬鹿なのかもしれません。因みにその前日のお客様には、磯自慢は「甘くて飲めないお酒」であったのでした。





大吟醸は料理の邪魔になります。辛くてコクのある本醸造か純米をください」


んならば、これしかない・・・とお持ちしたのは奥播磨「白影泉」を冷やで。


でもお気に召していただけなくて、ダメモトと思いつつも数少ない本醸造の中から黒龍本醸造


「これだよぉ。こういうのがいい!」


奥播磨「白影泉」よりも黒龍本醸造が辛くてコクがある?「???」疑問符は深まってもとりあえずOKがでていればいいのです。


さらに同じ席の別のお客様にお持ちした十四代純米大吟醸「龍月」をごらんになると、


「おお、十四代ジャン。私にもください」


(えっ?大吟醸、しかも”辛くてコク”の対極にあるようなお酒ですが・・・)とは口に出さずに、グラスに注ぐと


「ああ、、、やっぱり十四代は美味いなぁぁ」


「???」は10乗ぐらいに深まりますが、お気に召していただくのがなによりです。お客様のお好みを推し量るのは私には一生無理かもしれないと深く悩む・・・ことはせずに、「まっ、いいかぁぁ」とあきらめるのです。


ね、
お酒を甘い辛いで判断するってわけがわからないでしょ。




たとえば、
藤原紀香さんと松島菜々子さんと叶姉妹が並んでいて、「さあ、今日はこの四人のどなたとでもデートできます。さてどうします?」と夢のようなお話をいただいたとき。


「私は豊満でバタ臭い女性が好きですからぁ・・・・松島菜々子さんとご一緒したいです」


っていわれた感じ。


好みは人それぞれ、感性は人それぞれなのです。