岸本葉子さん

エッセイを読むのは嫌いではありません。小説家や詩人の書いた筆力を感じるエッセイの中には「日常をこれほど豊かに表現できるものか」と圧倒されるものも少なくありません。ただ、エッセイイストとかいう肩書きを見たりすると、自分の生活を切り売りしているような印象を感じてしまって、そういう方の本は自然に避けていたような気がします。



「わたしのひとり暮らし手帖」「幸せまでもう一歩」「ひとり暮らしのおいしいキッチン歳時記」「女の底力、捨てたもんじゃない」「若くなくても、いいじゃない」・・・・なぁんて題名と岸本葉子というエッセイイストの名前は知ってはいたのですが、エッセイイストの「いかにも感」と独身女性特に20代後半〜30代女性のみ御用達感の題名に、手にとる事はありえない作家であったのです。


が、
先日の「週刊ブックレビュー」に登場していた岸本葉子さん本人を初めて見て、書評を聞いているとこれが只者ではありません。考察力と理路整然とした語り口の構成力、それでいて育ちのよさがみえるおっとり感のバランスが程よくて見ているものを惹きつけます。こういう人の本なら読んでみる価値があるかもしれません。「人間見た目」とよく聞く昨今、本の題名の見た目で人を判断しちゃいけませんね。


ご存知の方がいらっしゃればお奨めをお教えください。