clementia2006-02-24



新筍を使い始めるときが店にとっての春です。


筍自体はもう年末には中国産が出始め、日本産も南のほうから1月には入荷が始まります。使おうと思えば「超走り」でも使えるのです。


私が修行を始めた30年近く前には、料理屋では「旬(しゅん)」以上に「走り」の食材を使うのが高級の証でした。それだけ「走り」を手に入れるのは大変だったのですね。最近のようにいつが旬なのかわからないという食材にあふれている時代とは違い、流通も遠方から新鮮な食材を入手するのが大変な時代であったのです。ニュージーランドで柿を作り、春に柿をおだししてお客様の驚きを誘うというような趣向は確か20年位前だったでしょうか。近頃ではマーケットに置いてあっても不思議には思いません(高いとは思うでしょうが)


昨今、「旬」は職人が自分で意識しなければ失われてしまう時代になりました。



新筍は岡部町のもの、「今だ!」と思うときに初めて使い始めます。手に入り始めるときと使い始めるときは違うのです。大げさに言えば美味しい旬は板前の感性が決めるのですね。


私ン処の春は今日から。