廃業


この地でも歴史のある料理屋さんが廃業されました。


私ン処とは親子三代に渡ってお付き合いをしていただいていただけにとても残念です。その店のおじいちゃまと私の祖父が仲がよく、父親同士も同じ組合の役員で助け合い飲み合い、私とかの店の三代目も大学の一年後輩、修行先でも一年後輩で同じ釜の飯を食っていました。


三代に渡って順調かと思われたのですが、三代目が料理店の仕事に疑問を感じて結局跡を継がれませんでした。端から見れば「もったいない」と思うでしょうが、仕事もでき人間としても尊敬できる彼の決断ですから私には何もいうことができません。一生の商売ですから、好きでなければ跡を継ぐことも不幸になるでしょう。


私はたまたま料理の仕事が好きで、お客様と対することが好きでしたから、跡を継ぐことを義務とは思わずやりがいのある仕事として続けることができたのですが、今の時代、長男だから跡を継ぐべきという考え方自体が全く時代遅れとなってしまっています。そうやって考えると代々商売が続いていくという事はある意味奇跡のようなことかもしれませんね。


私にも子供たちがいますが、誰かに店を継いでもらおうとは微塵も思っていません。やりたいと思う意志があればやればいいし、なければ私の代でお終いでも全く問題はありません。たぶん引退に近い頃が100年になるので丁度いい区切りかもしれないと思う程度です。こんな小さな店の仕事というのは個人の能力を映し出すものです。代が変わっても同じ内容であるはずもなく、私と同じ仕事をしていたら将来長く続くことはないでしょう。


さて、あと何年今のモジュベーションを保って店を続けることができるのでしょう。見守ってやってください。明日「売家」と唐様で書くかもしれませんが。