オリバー・ツイスト


あの「戦場のピアニスト」の、というよりは「ローズマリーの赤ちゃん」「チャイナタウン」「テス」のロマン・ポランスキー監督の「オリバー・ツイスト」を先週見てきました。


このCGの時代に壮大なセットをつくり、当時のイギリスを克明に描いた見ごたえのある作品です。ディケンズは何度か挫折した事があって「オリバー・ツイスト」自体も恥ずかしながら読んだ事がないのですが、ポランスキーの丹念な映像であの時代の空気までも伝わってきます。俳優陣はみな素晴らしいのですが、なかでもベン・キングスレーは圧倒的です。イギリスはシェクスピアーの伝統というだけでは収まらないほどに力のある俳優の宝庫です。今回のベン・キングスレー、サラリーマンのように俳優をこなしているらしいと聞くのにいつでも存在感のあるアンソニー・ホプキンス、他にも大好きな俳優がたくさん、ダニエル・デイ・ルイス、アレックス・ギネス、テレンス・スタンプゲーリー・オールドマン、エマ・トンプソンクリスチャン・ベール・・・・ 音楽も印象的です。ニ小節の単純なモチーフを原型にオリバーの希望とか挫折とか夢とかを表してしまうのは映像と同様に聞き応えがあります。ストレートな文芸作品の映像化は馴染めない事が多いのですが、楽しめた一作でした。