お宝

clementia2006-01-26



店を建て替えた10年前、取り壊すために倉庫に山盛りになったゴミを処理していました。


「一年その品物を使わなかったらそれはゴミ、捨てなさい」とは聞くのですが、根が貧乏性ですからゴミはたまるばかりです。新築開店のためのゴミ処理ですから私にしてはかなり大胆に処分をしていきました。


すると、棚の奥のほうに見慣れない木箱が二つでてきたのです。開けてみると、私が見た事がない輪島塗のお椀でした。輪島というだけで高価の代名詞のように感じる今ですが、祖父に聞いたころには、「昔は塗り物で手に入るのは輪島しかなかったら輪島を使ったんだよ。毎月業者が来ては品物を買わなくてもお金を払って積み立てていったもんだ」と話してくれた事を思い出しました。


お椀は重陽節句辺りに使う菊の椀、地味な表蓋を開けると蓋の裏側と本体に菊の模様が描かれた豪奢な仕様です。普通に大した柄ではない輪島のお椀でも今なら5万円はしますので、このクラスであればおそらく一客10万円前後。19客で「190万円みっけ」


お宝などほとんどない我が家にしてみるとありがたい先々代からの贈り物のような気がしました。



お椀のほとんどはいまでも輪島塗を使っているのですが、お弁当箱も50客くらいの輪島が倉庫に眠っていました。ランチを始めるとき、寝かせておくのももったいない、仕出しでは恐くて使えないけど、店のランチならいいかぁ・・・・と、使い始めて1-2年、未だ「おっ、ランチのお弁当に輪島!」(実はお膳も輪島です)と気づいたお客様は一人もいません。まっ、「小奇麗な器だなぁ」と思っていただけるくらいで充分ではあるのですが、、、、1200円のお弁当に○○円の器・・・・と値段を聞いたら引いちゃいますもんね。