お笑い


正月はどのチャンネルを回しても(回すとはすでに言いませんね)「お笑い」の数々です。久しぶりにまとめて聞くベテランの芸人たちのしゃべくりが驚くほどパワーとスピード感があって面白いではありませんか。昔若い頃、ベテランと呼ばれる芸人たちのお笑いを見ると手垢がべっとりついているようで痛々しく感じたりしたものでした。それに反して、今TVでもてはやされる若手芸人の笑いは最近ちっとも面白く感じません。


いやいや、若手の感覚についていけなくて、昔の芸人を面白く感じるというのは歳を取った証拠。私の感性もこんなに古錆びてしまったのか、と悲しい気持になったのですが、ふと思い出して、年末に録画してあった「M-1グランプリ」を見てみると、若手でもとてつもなく面白い。



なぁぁんだ、TVに出まくる若手芸人が面白く感じられない・・・というのは、私の感性の問題というよりは、本当に面白くないだけなのです。TVでは面白いかどうかではなくて、今人気と勢いがあって視聴率が取れるかどうかだけが問題なわけで、ホントの実力とか面白さは関係ないのですね、きっと。




芸能人の芸やタレント(能力)を売るよりは「がんばった私たち」「感動をあげる私たち」を売る「芸能人かくし芸なんとやら」という番組にはあまり興味がないのですが、家族が見ていたのを横目で見た有名な堺正章のラスト・パーフォーマンスは昔NHKで何度か見たジョージ・カール(というのだそうです。名前は知りませんでした)のパクリ・・・じゃなくてオマージュ。それなりにアレンジしてまとめあげた高い内容で感心したのですが、ジョージ・カールが舞台で一生かけて演じ続け多くのファンを魅了した芸は、TVで堺氏が演じてしまった途端に「使い捨て」になったようで辛い気がします。この後、堺氏だけでなくほかの芸能人が同じような事をすれば、「あああの時かくし芸でやったヤツ」としか見られなくなるのでしょう。TVの宿命とはいえ芸が積み重ね練り上げる事によって古典になることがない媒体というのはつまらないものです。