芸者


SAYURI」(さゆり)が今日から公開、楽しみです。


今の若い方々は芸者遊びなどしたことはないでしょうし、私自身も芸者遊び世代にやっと引っかかっているくらいでたいしたことは言えません。ただ、料理屋の集まる宴会や、町内の宴会などに芸者衆のいない会はありえない・・・くらいの感覚はあります。


昔は芸者衆のいない宴会なんてしみったれた会はほとんどありませんでした。宴会には当たり前のように芸者はいたもの。男同士でお酌をしあうなんて一杯飲み屋で愚痴を言い合う時だけでした。女性(素人の)がそういう宴席にいることもありえませんでした。カウンター割烹なんていうのもない時代(カウンター割烹なんて結構最近のことです)には一人で飲むにも芸者衆がいてお相手をするのが普通でした。料理屋というのはそういうものであったのです。


芸者衆は子供のころから身近にいました。街中で育ちましたから、近所に置屋もありましたし、隣保には芸者衆を送り迎えする力車屋さんもありました。正月には帳場をウロウロしているとお座敷に呼ばれている芸者衆からお年玉をたくさんもらえましたし、なにより芸者衆のいい香り(白粉の)の記憶は鮮明です。


お座敷だけでなく、家庭で行われる祝儀の宴にも芸者衆は呼ばれましたし、結婚式にも呼ばれるのが普通であったのです。


芸者衆が遊びのための特別な感覚でとらえられそうな今、片足だけでも芸者衆が当たり前にいた時代を知っている世代としてはその時代の空気を上手く伝えられるといいのですが、言葉だけでは難しい。「芸者」という時と「芸者衆」という時の微妙なニュアンス違い・・・わかるかなぁぁ。