蔵の生きる道


近頃「おっ!」と注目する日本酒蔵の多くは2000石以下、うっかりすると300石も下回ろうかという小さな蔵です。


先代が高齢になり、杜氏も引退もしくは病気で辞め、蔵を継ぐ気がなかった若主人(または醸造学を学んで修行に出ていた若主人)が呼び戻されます。好景気の頃は大手酒造メーカーへの桶売りでそれなりの規模であった蔵を、最低限の人数でできる体制に縮小し、若主人自身が心底「美味い!」と思える酒を造ることを目指す。


まさにこんなストーリーの志を感じる蔵が目立ち始めています。十四代しかり、醸し人九平治しかり、飛露喜しかり、最近出会った川亀しかり。


代替わりが順調にいき、先代からの杜氏も上手く機能している蔵もあるのですが、杜氏が辞め若い蔵元自身が杜氏を兼ねるケースも増えてきているというのは、日本酒業界が一つのターニングポイントに差し掛かっている現れの一つです。


志があるから美味しい・・・と言うわけには決していかなくて、がんばっていらっしゃるけどお酒の美しさは今ひとつ、と厳しい目で見つつ、やっぱり造り手の顔が見えるこういう小さな蔵がいい日本酒を造れるようになるように暖かく見守っていきたいものです。