披露宴料理


黒田さんと紀宮清子内親王のご結婚は結婚式の形としてかなり興味のあるものでした。新婦のシンプルなドレスや母君から受け継いだ着物、天皇家のテーブルの位置や着席順、新郎新婦が天皇家のテーブルに着席しての食事などなど、様々な配慮が見えて興味津々であります。


なかでも料理に携わる身としては、三品だけの料理は驚きでした。下々では披露宴の料理は品数勝負みたいなところがあるのが実情です。和食でもフレンチでも中華でも、披露宴の最初から最後までテーブルの上に料理が途切れる事が恐怖であるかのように次から次へと料理は続きます。宴席が始まり終わるまでの二時間もしくは二時間半くらいの時間を、調理場とサービススタッフは流れるように料理を進め、最後のご挨拶の手前くらいでデザートコーヒーできれいに締めくくるのがどこにいっても当然であったのです。「晴れの日のもてなし」というのはいつの世もそういうものであるかのごとく思っていたのですが、この披露宴では料理は「歓談」のための脇役であるかのようなシンプルさです。そういえば昨年の今ごろ亡くなった高円宮様の結婚式の披露宴では、簡素にクッキーと紅茶だけが振舞われ新郎新婦が招待客にご挨拶に回るというような形であったことを思い出します。


天皇家がファッションでもセレモニーでもこういう形でオピニオン・リーダーであることはとても好ましく思えます。