「凍」


沢木耕太郎「凍」を読みました。


中学生の頃読んだ新田次郎孤高の人」で一気に山登り熱に犯され、近隣の山を登って(といっても実は超お手軽ハイキング程度)見るうちに、続いて植村直巳熱。読むだけで登山をしている気になっている「なんちゃってトレッカー」であったくらいの私では、「凍」に描かれた山野井夫妻のことはよく知りませんでした。読みはじめると山野井夫妻の経歴と登山記録の書き連ねたものに過ぎないのではないかと思っていたのですが、後半に入ると生死を分けるような壮絶な登山の描写にグイグイ引きこまれ、一気に沢木ワールドの虜になっています。これほどの登山家の記録は見たことがありません。沢木氏によって描かれなければ世間での評価は消えて無くなってしまったかもしれない山野井夫妻の偉業を思うと価値のあるノンフィクションです。