映画や音楽で感動の涙を流すことはよくあります。どちらかというと涙もろいほうかもしれません。ただし、これ見よがしなお涙頂戴は大嫌いで、特にTVやB級映画のあざといやり口には腹が立つことも頻繁です。


今は純愛ブームなのだそうですが、TVなどで不治の病を題材にされたりすると、もうそれだけで見る気が失せますし、実話を元にしていると、人の生き死にで涙をさそう手口が見えるようでかなり引いてしまうものです。ですから、「世界の中心で・・・」どうしたとかいうベストセラーなども、原作がどれだけ優れていたとしても、映画、TVとなっただけで本を手に取りたいとは思わなくなっていました。


先日も未見だった映画「オータム・イン・ニューヨーク」をたまたま録画しておいたものですから、見始めたのですが、不治の病の女性とモテモテ男の所業とわかった途端に早送り、どうでもいい映画に成り下がりました。



が、
その直後、読み始めた重松清その日のまえに」には完璧にやられてしまいました。


絵に描いたような不治の病の連発なのに、物語の後半では涙を抑える事が出来ませんでした。映画、音楽で泣くことはあっても小説で涙した経験は極まれなのに。重松作品はいつも読み応えがありますが、「その日のまえに」は感動した「流星ワゴン」や「疾走」とは別の深い思い入れができました。