アナタの辞書は何歳?


お得意様ご夫婦二組とお話をしていて、ある英語の単語の意味がわからなくなりました。辞書で調べてみましょう、と、私愛用の英和辞典を持ち出すと、


「親方、スッゴイ年季の入った辞書だねぇ。いつから使ってるの?」
「えっ?中学からですけどぉ」


どのページを開いても赤線が引いてあるのをプチ自慢(といっても家族にだけですが)にしていた長年愛用の英和辞典です。


「辞書も買い換えないとだめですよ。試しに”sophisticate”なんてひいてみたら、きっと想像している意味とこの頃は違うから」と、英語がペラペラの奥様。
「”sophisticate”?洗礼された、とかいう意味と違うんですか?」と1968年版と書かれた辞書でひいてみると、「世間ずれした 純真でない ごまかしの」などという文字が並んでいます。


言葉は進化するという事は知ってはいても、辞書で目の当たりにすると案外ビックリします。




ついでに本棚からほかの辞書を出してみても、「広辞林」は昭和48年版、小さな国語辞典は昭和42年版になっていて、辞書はどれも物持ちが言いというのか年寄りの辞書ばかりでした。


「じゃ、それで親方が絶対使わない”こだわり”なんてひいてみたら」
「おもしろいですねぇ」


”こだわり”>>”つまらないことを、いつまでも気にかけている”だけです。


確かにこの辞書を使っていた私の中学の頃には「食にたいする”こだわり”」なんて言葉は存在しませんでした。試しにYahoo!辞書で検索しても、「ちょっとしたことを必要以上に気にする つかえたりひっかかったりする 難癖をつける けちをつける」という言葉だけ並び「些細な事まで突き詰めて追求探求する」といった肯定的な意味は見当たりませんでした(息子の電子辞書にはでてきます)


今ではNHKのアナウンサーでも普通に使う「こだわった食材、こだわった仕事」などという「こだわり」の使い方は、辞書的にはこれから市民権を得ていくのでしょうね。


外国人がメディアにあふれている「こだわり」を辞書でしらべたら、「ああ、こだわりってつまらないことなんだぁ・・・・??」と意味不明に陥るでしょうねぇ。