愛山


更新した注目の日本酒は愛山特集です。日本酒ファンにはすでにおなじみの愛山ですが、未知の方のために少々お話をさせていただきます。



愛山というのは好適酒米、つまり酒米の一種で、有名な山田錦とか五百万石と同じ酒造りのためのお米です。産地は兵庫県のみ。兵庫県山田錦の大産地で、優良な山田錦が出来ることで有名です。「大吟醸」と銘打つ名前の通った有名酒の裏のラベルをご覧になると、「兵庫産山田錦」の文字がよく見られます。というか”「兵庫産山田錦」でなければいい大吟醸は出来ないのか!”と思ってしまうほど、兵庫産山田錦は傑出しているのです。


その兵庫県山田錦の作付面積が平成15年のデータで4198ヘクタール。それに対して愛山はわずかに38ヘクタールのみです。わずかに作られる愛山を多くの蔵が注目して手に入れようとするのは、山田錦よりもさらに大きな米粒、大吟醸に欠かせない心白(中心部分の白いところ)の大きさ、米の融けやすさなど大吟醸を造るために適している米質ゆえだと聞きます。ところがこの愛山、米つくりも難しい上に、昔、剣菱が独占的に契約農家のみに作らせていたといわれるお米で、外の地方で一気に作付面積が広がるものではありません。


この愛山に最初に注目したのが山形の「十四代」高木酒造さんと静岡「磯自慢」さんです。この二つの進取の精神にとんだ蔵の下に集まったさらに9つの蔵が(南部美人、東洋美人、出羽桜、くどき上手、磯乃澤、東の麓、誉小桜、飛露喜、獅子の里)で「酒道の会」という集まりを平成15年に立ち上げ、愛山の研究に打ち込んでいるのだそうです。


というわけで、これまで使っていた十四代と磯自慢の愛山に加えて、昨年今年辺りから酒道の会の皆さんの愛山使用純米吟醸クラスが現れてきました。



ワインでしたら、カベルネ・ソービニヨンとピノ・ノワールの葡萄の違いを味わい分ける事がたまには出来ますが、私の貧弱な舌では日本酒の米の違いを味わい分けることはできません。山田錦の特性と愛山の特性は各蔵によってそれなりにわかる程度でお寒い限りなのですが、一度飲み比べにチャレンジしてみませんか、愛山。



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