貝調べ

clementia2005-07-15

貝を茹でたときに出る出汁はとても美味しいものです。蛤、アサリ、蜆、それぞれに個性があって、貝そのもの以上に出汁を楽しみたくなります。


今日入荷した豊川の蜆も大きさがたっぷりあって、蜆の旨みがちゃんと出てくれそうでありがたい食材ではあるのですが、稀少なようです。


貝を茹でるとき、全体の中に一個でも痛んだ貝があると、出し汁すべてがオジャンになってしまいます。腐った貝の匂いというのは500個の中のたった一個でも強烈なのですね。


貝が痛んでいるかどうかは、貝同士を叩いて音を聞いて確かめます。「カンカン」と高い音が鳴ればOK、痛んでいると「ポコッポコッ」という音が鳴ってすぐにわかります。一般家庭ではマーケットで売っている貝が傷んでいる可能性など疑うべくもなく、確かめずに使われるでしょうが、私たちは高価な貝では未だに一個づつ確かめる事を怠りません。一個の貝のためにその日の献立が台無しになったらたまったものではありませんから。


現場では漁師さんが出荷の前にすべての貝を調べているのだそうで、蜆で有名な宍道湖ではコンピューターで音を聞いて調べる機械まで開発中であると聞きました。90数パーセントの確立でコンピュータは正確に貝を調べるのだそうですが、ベテラン漁師さんに言わせると「そんなもん1%でもはずれたらだめだぁ。人間がやったほうが正確だぁ」と。


そりゃそうですよね。お汁が美味しいイ蜆の場合、1%で残りの99%が使えなくなってしまうのですから。