出来立てを

お弁当のご注文をいただいたときに「出来立てをくださいね」と言われました。


もちろんお弁当といっても、お客様の注文の時間に合わせて仕上がるようにするのは当然の仕事で、「時間がないから早くやっつけちゃう」などということは絶対にしません。


かといって、出来立ての熱々を弁当箱に詰めて蓋をしてなるべく熱々を召し上がっていただく・・・・というわけにはいきません。熱々に蓋をすれば中で料理が蒸れてすぐに痛んでしまうのです。この梅雨時ではなおのことです。料理は適度に冷めていてもご飯が温かくて弁当箱全体の温度が上がり、食中毒の原因になる事もあるのです。ホカ弁なら持って帰ってすぐに食べる事を前提にしているのですが、我々の作るお弁当は、お届けしてから少し間があくことはよくあります。もちろん「できるだけお早めにお召し上がりください」とは明記しておくのですが、おなかが痛くなってからの言い訳はできません。いつ食べるかはお客様の判断次第なのが仕出し料理の宿命です。


出来立ての料理をある程度冷まして盛り込んでお弁当は完成します。出来立てでも冷めているのが仕出しのお弁当なのです。出来れば熱々をというのは理想ではあるのですがこればかりは仕方ありません。


よく会社の会議などで、段取りが素晴らしくいい総務課の手にかかると、会議のお弁当を実際に食べる1時間ほども前に届けるような注文をいただく事もあります。そうと知ると冷や汗が出ます。逆にお弁当の催促の電話で「お待たせしております。もう先ほど出ております」と言った本人が配達に現れる・・・というように遅れてしまうのも困ったものなのですが、「出来立て」を、と思うと、時間ギリギリに仕上げてしまうのですね。