新橋「しみづ」

このところ腰痛治療のために東京行きを何回か重ねているのですが、食事をする間もなくとんぼ返りしていました。が、今回は従姉妹の結婚式。少し時間があって、前回満席で予約が取れなかった新橋「鮨処しみづ」さんへ伺ってきました。


ともかく各所で高い評判を聞く店です。信頼する舌をお持ちの方が絶賛するお寿司屋さんですから最初から安心して出かけられます。場所は新橋駅近くの路地裏、小料理屋が軒を連ねています。こんな場所に日本中から寿司好きを集めているのですからたいしたものです。店の広さも、私ン処なら4-5人のお客様に使っていただくほどのスペースに、ぎっしりのお客8名、親方若い衆が4名、12人がひしめきます。


お昼ということもあって最初から握っていただきました。まこ鰈、鱚、鯵、小肌、蒸し鮑、小柱、本みる貝、赤貝、鳥貝、鮪赤身、トロ、蛸、車海老、縞鯵、穴子、卵焼、干瓢巻き


白身、まこ鰈、鱚の身質が素晴らしい。鯵も大ぶりなもので軽く酢〆してから握ってくださいます。小肌、穴子、蒸し鮑、蛸、干瓢などの仕事は丁寧で王道をいく作業がほどこされています。車海老はこれ以上はないという贅沢な大きさ、そしてなんといっても親方が「もう時期的にはお仕舞い近いですが」と言いつつ握った貝類の見事さは傑出していました。本みる貝も赤貝も鳥貝もこの地は三河をひかえて、それなりにいいものを使っているつもりではあったのですが、築地に集まる最上には軽くあしらわれてしまいそうです。そろいもそろって圧倒的な迫力を持っていました。



そしてなにより、酢飯とネタのバランスのよさ、酢飯のスッキリ感が際立っています。素晴らしい仕事とネタの素晴らしさもこの酢飯あってこそなのです。



で、
これだけの素材と仕事をしながら、勘定は「えっ?」聞き返してしまいそうなるほどの安価。同じ仕事を銀座へもっていき、いい器とゆったりしたスペースで提供すれば2.5倍でもおかしくないほどなのに、「接待系は銀座にお任せしておきます」と親方のポリシーは揺らぐことがありません。これなら若い純粋な寿司好きは間違いなくこの店に吸い寄せられます。評判の高さは仕事だけでなくコストに対する親方の生真面目故なのでしょう。見習わなくてはいけない姿勢です。


いやいや心底寿司そのものを堪能させていただきました。脱帽です。