桶売り

ある日本酒蔵の営業部長さんに聞いたお話。


お隣愛知県の日本酒生産量は静岡県の4倍なのだそうです。ところが、特定名称酒(「普通酒」「本醸造酒」「純米酒」「吟醸酒」の内、「本醸造酒」「純米酒」「吟醸酒」を総括していうときの名称)の生産量は同じ。つまり普通酒の生産量が圧倒的に多いということです。当然、桶売り桶売り(おけうり)(小さな酒造がお酒を桶ごと大手メーカーに売ること。つまり、下請けのこと)をしている蔵もたくさんあります。静岡県の蔵で桶売りをしている蔵はあまり多くはありません。


「桶売り=悪」のイメージがありますが、どんなお酒でも桶売りできるわけではなく、大手の設計図通りに酒を造る過程で地方の小さな蔵の技術が上がったという事実もあり、桶売りを全否定するわけではないのですが、やっぱりどんな小さな蔵も自分たちのポリシーに基づいた良いお酒を造って、順調に自社で売れることが理想的なわけで、さらに特定名称酒だけで勝負できればそんないいことはありません。


上の事実は、全国的に見てもいかに静岡県の酒蔵の意識とレベルが高いかの証拠です。桶売りから脱却し、いいお酒を造り売るための努力は並大抵のことではありません。


この地で地元のお酒を誇りを持ってお客様に提供できることは本当に有難いことなのだと改めて実感するお話でした。