お辞儀

あなたは美しいお辞儀ができるでしょうか?

相手に敬意を払う時、気持をこめた挨拶をする時、感謝の気持をこめる時、はた目にみて綺麗なお辞儀はその人の品性の一部を見せてくれます。江戸末期の頃海外に渡った武士や公家達の立ち振る舞いは、お辞儀と言う東洋の礼節も含めて、品格のあるもの尊敬すべきものとして欧米の人々に受け入れられたと聞きます。現代のハリウッド映画などで描かれる軽薄な日本人のお辞儀とは格段の差があるはずです。


考えてみると、戦争に負けるまでに日本には映像で見る限り、軍人には軍人の、商人には商人の、婦人には婦人の、天皇に対する時にはそれに応じたお辞儀がきちんと残っていました。あれは学校や家庭で躾ていたのでしょうか?今では微塵もありません。自分自身を振り返っても、お辞儀の仕方を教わった覚えはお茶のお稽古以外では思い出せません。学校でも家庭でももちろん板前の職場でも教わってはいないのです。それでもなんとなく身についているのは親のおかげかもしれません。多分普通に学校を出て就職する人たちも、職場の新人研修がお辞儀の勉強の最初なのではないでしょうか。老若男女含めて、ピョコンとしたお辞儀しかしたことのない人々ばかりが世の中を席巻しているのが実情でしょう。




挨拶のときには最近では握手を自然にする人たちも多いようですが、NHKプロジェクトX」などを見ていると、スタジオに現るゲストたちは例外なくお辞儀で挨拶をします。あれを見ると「ああ、日本人なんだなぁ」としみじみ思ったりするわけで、握手文化に染まらなくても自然に綺麗なお辞儀ができれば世界でも通用するのかもしれないと考えたりします。先日やっぱりTVのあるドキュメンタリーで見たロックンローラー矢沢永吉も、仕事であうCMのスタッフには握手ではなくお辞儀でした。「矢沢=握手」みたいに思っていた私には結構意外。やっぱり日本人に身についたもんはお辞儀なのですよねぇ。



仕事でたくさんの人にお会いしていると、普段人に頭を下げる機会の少ない職業の人、そういう立場にいる人たちはお辞儀が下手くそです。私なんぞ、毎日コメツキバッタのように頭を下げていますからそれほど下手くそではないとは思っているのですが、件のJR西日本の偉い方々はあれほど深く頭を下げたことは人生でも何度もないのではないでしょうか。それよりも酒だボーリングだと、人に頭を下げさせようと、あげつらうやり込めようとしているメディア記者の連中は、美しいお辞儀ができるのでしょうか?見てみたい。