京丸ブランド

clementia2005-04-26


土を耕し、大地と、太陽の恵み作物を育てる・・・・素人が考えると、理想的なユートピアのような農業生産であるように思えるのですが、実際にはそんな生易しいものではありません。土も天候も毎年人間の思うように操作して、安定した収穫を約束してくれるわけではないのです。


私が普段使う野菜も、すべてに「土の香り」を望むのは無理です。無農薬を売りにして虫食いだらけの葉っぱや、形が不ぞろいで歩留まりが極端に悪い食材も、素人の健康至上主義者たちにはありがたいかもしれませんが、そればかりでは商売になりません。




今、椀物に使っているチンゲン菜は親指サイズで、小さくてもチンゲン菜の主張があって、葉が柔らかく、緑が鮮やかで、お椀の彩りを豊かにしてくれています。それを作ってくれているのが京丸園さん、地元にある農家さんです。昨日伺って生産現場を拝見してお話を伺ってきました。


きれいに整えられ、清掃が行き届いた巨大なハウスは、水耕栽培のための水や温度調節、日当たりのかげん、風の出し入れなどコンピューターで管理され工業製品を作るように見事にシステム作りがされています。こういうところで栽培されるからこそ、チンゲン菜が思うようなサイズでキッチリ出荷され私たちの手元に届くのです。


ご主人の鈴木さんが立派なのはそういう施設農法だけでなく、昔から地元で生産された土で作られた農作物にも目を向け、新たな取り組みにも挑んでいらっしゃることです。農家がかかえるたくさん問題を正面から見据え、理想と現実との折り合いをつけながら発展していこうという姿は、私にとってもお手本になります。