オリジナル

美味しいもの好きには目が離せない新しいブログうまい店対談で、ハワイ料理店についてこんな会話がありました。


”レシピ的には全く難しいわけではないのに、オリジナリティを追求する店がないのは、結局オリジナルを知っている日本人が少ないということなんですか”


”というか、「志高く始めるヒトが少ない」ということかもしれない。
簡単だから。儲かりそうだから。流行りそうだから。好きだから。
そんな理由で始めてしまう店って、多いし(無理もないのだけど)。
「文化を伝える」という志でやるヒトも少ないんでしょうね”



取り上げていただいたから・・・というわけではないのですが、さすがにこのお二人、よくお分かりです。


ハワイ料理だけでなく、日本中にごまんとある各国の料理店で、オリジナルを理解しようという志のある店は極少数です。フランス料理しかり、イタリア料理しかり、中華料理しかり。物まねをアレンジして自分のものにすることの上手な日本人・・・・といっても、オリジナルを知らない物まねが横行しているのです。これだけ情報が豊かであるにもかかわらず、オリジナルを知る努力もせず、知らないことを恥ずかしいとも思わない料理人は限りなくたくさんいます。オリジナルの美味しさを知らずに、こねくり回したものがそこそこいけると信じている料理人がたくさんいるのです。



マグロのお刺身を食べたことのない外国の料理人に、マグロの塊と大根と山葵と醤油を用意してお刺身を作らせれば、間違いなく「こんなのマグロの刺身じゃない」とうい品物ができます。海外で日本人のいない日本料理店ででてくる料理がかなりちぐはぐなのと同じです。


もっとも嘆かわしいのはオリジナルであるかどうか以前に、美味しいものを知ろうとする努力をしない料理人、美味しいものが理解できない料理人が多くいることです。


料理人を突き動かし向上させるのは、自分の実力では太刀打ちできない料理を食べた時の感動です。「こんな美味いものを作って見たい」「こんな表現力のある料理人になってみたい」そういう気持を、若いときだけでなく一生持ち続けるのが料理人です。


真っ当な舌と向上心を持った料理人であれば、必ずオリジナルを知りたいと思い、オリジナルを身に付けた料理人のアレンジは根っこの部分で揺らぐことがありません。


オリジナルなイタリアンを身に付けた日本人の料理人であれば、日本の食材を使ってもイタリアをはずすことがないのです。



日本人が造る日本料理でも、本当に美味しいものを知り、知りたいという志を持った料理人こそが真っ当な日本料理を創造できるはずです。