縦長の四季

clementia2005-04-09

この地では桜が満開となりました。メディアでも東京や京都の満開の桜を中継しています。「入学式 満開の桜の元の新入生」には今年はちょっと遅くなってしまいましたが4-5日の差です。


先日長野県諏訪出身のお得意様がおっしゃいました。「私の故郷では桜は5月なんですよね。TVCMの”入学式に満開の桜”っていうのがずっと“?”実感がなかったんですよぉ」と。山形出身の友人も言っていました。「東北では春はいっぺんにやってくるんだよ。この辺みたいに徐々にではなくて一気に春になるから、花が一斉に咲く喜びも大きいの」と。


TVでは大雨や事件ばかりでなく、桜まで東京中心の報道で、この地も気候もそれに近いものですから、寒い国の季節感を肌で知ることがありません。日本列島は確かに縦に長いのです。桜前線も南から始まって、東京を過ぎたころには話題にされなくなりがちです。



この季節には青森からアンコウの肝の極上が入ってきます。一般的な季節感で言うとアンコウ=冬、アンキモも寒い季節に美味しいと言うイメージがあります。確かに昔から「アンコウは梅が咲く頃まで」と言われたりするものです。ところがここでも日本列島が縦に長いことがわかります。これだけ大きな肝がとれるアンコウは青森ではこの時期がいいのです。冬の寒い時期、この地でとれるアンコウにはこれほど立派な肝は入っていません。冬の季節この辺で「アンキモでございます」と出されるのはボストン産。食べればわかるのですが、同じ品物とは思えないほど味は違います。値段も三倍くらいの差があります。三倍の差は味の差でもあるのです。


地物だけにとらわれたくない私ン処など、流通ルートが格段に素晴らしくなった今、食材の季節感は肌で感じるものだけではとらえることが出来なくなってきているというのも事実です。冬だからアンキモなのではなくて、ほんとに美味しいアンキモを召し上がっていただきたいのです。