オリヴィエ・アントゥネス


オリヴィエ・アントゥネス デンマークのピアニストです。


ヨーロッパ、特に北ヨーロッパには優れたジャズ・ミュージシャンがたくさんいるのですが、アントゥヌスの存在を知ったのは「みじかくも 美しく燃え」(Theme From Elvira Madigan)というアルバムが初めてでした。


エルヴィラ・マディガンのテーマが「みじかくも 美しく燃え」と言ってもぴんと来なかったのですが、ヨーロッパ映画の“Elvira Madigan”の邦題が「みじかくも 美しく燃え」なわけで、聞いてみればモーツアルトのピアノ協奏曲の一部でした。この映画のテーマにモーツアルトが使われていたと言うわけなのですね。


若手(といっても30歳を超えていますが)のアントゥネスを支えるのは、デンマークでは超一流のマッズ・ヴィンディングのベースと、アレックス・リールのドラムス。


テクニックで押してくるようなピアニストではないのですが、リリックでメロディーラインがわかりやすく心の響きます。さらに、ヴィンディングのベースがさらにトリオを引き締め全体を鼓舞しています。久しぶりにいいトリオアルバムに出会えました。毎日聞いても飽きることがありません。


アントゥネヌスは亡くなったケニー・ドリュー(ピアニスト)を師と仰いでいるというのですが、確かにこのアルバム自体1970年代にデンマークのスティープル・チェイスで何枚ものアルバムを輩出してファンを魅了したころのケニー・ドリューを彷彿とさせてくれます。そういえばベースのヴィンディングもそのころ期待の新人としてデビューしたのを覚えています。


年間数十枚購入するジャズ・アルバムの中でジャズファン以外にお奨めできるアルバムは多くはないのですが、このアルバムは強力推薦です。少しでも興味のある方は是非。