プレミアの行方


40代より前の若い方々はご存知ないかもしれません。今のような芋焼酎の大ブームになる前、昭和50年代に麦焼酎のブームがありました。九州だけの焼酎が全国区になるきっかけではなかったかでしょうか。


二階堂焼酎の「吉四六」(きっちょむ)が脚光を浴びて猫も杓子も「吉四六」 入手はかなり難しいものでした。その当時は今のように流通ルートもスムースではなく、酒情報も近所の町の酒屋から得る程度しかなかったものですから、「吉四六」を手に入れようとしても数少ない付き合いのある町の酒屋に頼るしかなかった時代でした。頭を下げ下げして一ヶ月に一本もらえるかどうかの「吉四六」をありがたがったのではありますが、美味しいお酒だとは全く思ってもいませんでした。まっ、日本酒も吟醸酒以前、熱燗だけが日本酒の時代ですからお酒自体が今のように洗礼されていた時代ではなかったのです。たぶんつぼに入ったその姿と、入手が難しいというプレミア感だけで美味しいような気がしていたのではないでしょうか。


吉四六」のプレミアも今は昔のお話。あの当時を覚えている人も少なくなってしまいます。品物が少なければブームとなって皆で探し回る、今の芋焼酎の稀少酒狂乱と同じようなことを25年程前にやっているのにちっとも進歩しない消費者、名前で酒を飲むことからいつになったら卒業できるのでしょうか。