春の予感

まだ寒い日が続いてはいるのですが、食材には春がやってきています。


蕪や大根、芋の類はそろそろおしまいになった代わりに、ふきのとうと白魚を前菜に使い始めました。


お椀にはあいなめや蛤を使い始めています。新筍もまだ高価ですが柔らかくて美味しい時期です。


お刺身には地物、天竜川河口の白魚がたまに手に入ります。あしらいは蕨、山独活、山葵の花です。


煮物は春爛漫。新たまねぎの赤ちゃんのようなオニオンヌーボー、新ジャガイモは地元の農家さんのもの、京都の菜の花にあおり烏賊とさい巻き海老などの彩りでとろみをつけた吉野煮。


デザートの苺はクリスマスのときに出荷が増えますが、私たちが使い始めるのは今からです。


日本料理は四季の移り変わりを・・・・といいますが、私たちにとっては春だけでもいくつかの段階があって、初夏に入るまでに徐々に徐々に変化していくものなのです。一年をたった四つに分けてしまうほど単純ではないのですね。