倉庫でみかん

親戚筋がみかんで有名な三ケ日周辺にいますので、今までお金を出して家庭用のみかんを買ったことがありません。年末年始にいただくものだけで充分まかなえます。


細かく言うと、三ケ日みかんと浜名湖みかんでは値段も味も明らかに違いますし、三ケ日でも平山地区のものが最上のように思います。ワインの葡萄畑が場所によってランクが明確なように、果物はミクロな気候の違いや、畑の日当たり、土壌などで味に違いが出てきます。


三ケ日の平山地区では従兄がみかん農家をやっていて、年始の挨拶にいくと山のようにみかんをくれます。いただくみかんはもちろん美味しいのですが、みかんを貯蔵する倉庫でたべるものが素晴らしく美味しいのです。みかんに囲まれているという気分だけではなく、長期貯蔵するためのみかんの温度が美味しさの秘密です。


暖かいスイカより冷えたスイカが美味しいように、みかんにも食べるための適正な温度があります。冷蔵庫ほど冷たくなく、暖房で温まった室温ほど暖かくなく、強いて言えば暖房の行き届かない廊下の温度・・・・なのですが、自宅の廊下においてあるものではやっぱり温度が微妙に高いのです。


三ケ日の町から平山地区まではほんの7-8kmなのですが、温度が若干低く感じられます。その地のただ囲っただけの倉庫の温度というのがまさにみかん食べごろににとっては最適温度になるのですね。特に寒い今年のような年も、若干暖かい年も、正月に食べるみかんは、その倉庫で食べるみかんが一番美味い。家族の誰もが口をそろえてそう言います。自宅ではいろんな場所で試してもその温度にならないというのが不思議でなりません。