八海山チタンボトル

2001年に新潟八海山が出した大吟醸にチタンボトルがあります。


ボトルのデザインがすぐれていて、2003年の「パッケージデザイン大賞」も受賞したというお話を耳にしました。


値段もチタンボトルに入った大吟醸も含めて二本がセットで当時38000円(記憶が定かでありません)という破格のものでした。贈答品ならともかく、お酒そのものの良し悪しが大事な料理店は敬遠したくなるような値段でした。酒屋さんでもそうそう売れる値段ではありません。実際そのころ、「チタンって言うだけで38000円じゃぁ買えないよぉ」と私も言っていたのが、「まっ」とお付き合いで購入したのでした。


その一年後、チタンボトルを買ったものだけに八海山の特別な大吟醸をいただけるというではありませんか。(もちろん買うのですが)普通存在する八海山の大吟醸は4合瓶、めずらしく、というか、初めて見た一升瓶の大吟醸。この一升瓶の大吟醸をチタンボトルに詰め替えてお客様にお出しするのです。中味のお酒は1999年に収穫された酒米を2000年に仕込み、冷温で熟成させたもののようです。八海山と親しい酒屋さんに聞くと、蔵元を訪れたお得意様に振舞われるグリーンボトルの蔵元秘蔵酒がこの手の熟成酒だというお話です。もちろん一般に市販はされません。


チタンボトルをいただいてから今年で4年目、毎年私ン処ではこの時期にチタンボトルが登場します。分けていただくお酒を味わってみると毎年熟成感が違います。一年目より二年目三年目と塾生が進み、昨年は冷温熟成のピークを迎えていると思えるほど美しい仕上がりになっていました。そして今年は奥に隠れるほのかなひね香が嗅ぎ分けられます。この変化を考えると2000年に仕込んだお酒を貯蔵しつづけているのではないかと思われます。


「えーーー、そんなボトルに高いお金を払えないよぉ」と言っていたお酒をお付き合いで購入したのに、蔵元秘蔵酒を毎年もらえて、さらに年年の塾生の変化まで楽しめるという特典までついていました。こういう酒の提供の仕方は初めてです。この楽しみをご存知なのは私ン処の長いお付き合いのお得意様だけ、「おっ、今年もチタンボトルだねぇ」といってくださるお客様は一つ奥深い日本酒をご存知な方です。