えこひいき その2

「えこひいき」について誤解があるといけませんので、もう少しお話をさせていただきます。


12月9日の「えこひいき」を読んだ方は「弁いちでは日常的にえこひいきがされているのか?」と思われたでしょうか。ある意味yes、ある意味noです。


料理店としての基本はどんなお客様にも平等に同じ笑顔で接し、初めておいでいただいたときからずっと同じように変わらぬサービスをすることです。が、しかし、それは大規模店舗のマニュアルでもできる範囲のことです。私たちのように小さな個人店ではその先にサービスがあります。


まず予約のとき、初めて行く店であれば「○月○日 ○時に○名で席をお願いします」という電話をします。もちろん私も同様なのですが、「一見〜裏を返す〜馴染み」の手順を踏むべき店であれば、最初はその店の馴染み客に連れて行ってもらい、信用の置ける客の紹介を受けます。その直後二度目の訪問を自分の名前の予約で行います。「先日○○さんと伺った○○です。とても美味しかったので、是非もう一度伺いたいのですが」これで信用度も違いますし、店としては客筋がある程度見えますし、さらには「気に入っていただいたのだ」という喜びとともに予約を受けることが出来るわけです。


たとえそうでなくても、予約の時点で「始めて伺うのですが、○○さんから評判を聞きまして」だけでも店の情報量は違ってきます。もしくは「評判を聞いてずっと伺いたいと思っていたのですが」で店の心持は俄然違うものです。


また、高額な店、予約の取りにくい店であれば必ず1-2日前に予約の確認を自分からします。これも大事です。


予約なしでフラッと一見で現われ「空いてる?」というお客様と、手順を踏んだお客様では、店の心づもりも気遣いの具合も全く違うのは当然です。


店に入るときでも「ブスッ」と不機嫌そうに入ってくるお客様と、ニッコリして「予約した○○です。今日は楽しみにしてきました」という方では店の心意気が違ってくるのは人情というモンです。


私の言った「えこひいき」とはある意味、料理を食べる前から「店の側を上手く乗せてあげることが出来るかどうか」でもあるのです。


まだまだ続く。