友人からの噂話の域を出ないお話なのですが、近隣掛川市出身の若い女性が、アラン・デュカス率いるプラザ・アテネ(フランス超有名三ツ星レストラン)のシェフ・パティシエをやっているのだそうです。アラン・デュカスはシャネルと提携して銀座のシャネル・ビルでレストランをやるそうですので、いずれはこちらに・・・という話までまことしやかに語られます。プラザ・アテネのシェフ・パティシエといえば、花形中の花形、桧舞台のトップスターといっていいでしょう。


多くのフランス帰り、もしくはフランス修行中の若者が、有名レストランで働いていると聞きますが、研修の名のもとに無給で下働きをしているようなケースも多いと聞きます。「エル・ブジ」アラン・フェドリアの元など世界各国からの研修生がウヨウヨいると聞きました。「○○で修行した」は「○○のレストランにいたことがある」程度のお話の場合もあるのですね。以前、「○○で修行」の公認証みたいな証明書を額に入れて掲げているレストランも見たことがあります。フランス語は全く理解できませんので「○○で研修した」と書いてあるのか「○○で5年以上修行した」と書いてあるのかもわかりませんが。いずれにしてもそのレストランの空気に触れていたことは確かなのでしょう。


逆に尊敬するあるシェフは、8年間にわたり数々の三ツ星を渡り歩いたという噂を聞きましたが、ご本人に尋ねると「いろんなところに行きました」と笑って答えるだけで、「どこ」と特定のレストランを上げることはなく、「凄いと思ったのはなんといってもアラン・シャペルです」とだけおっしゃいました。それでいて彼の作る料理は絶品です。だれの影響を受けた料理・・・・というコピーまがいさえ微塵もないのです。


日本では、京都の有名料亭のご主人が「5年程度ウチにいたからといって、“○○で修行した”と公言すれば本人が恥をかくだけです」とおっしゃっているのを聞いたこともあります。これはこれで厳しいお話ですね。


私なんぞ、貧弱な経歴しか持ち合わせていませんので、ただ「○○出身」と聞いただけで恐れ入ってしまうほうです。そういう私から見ると、前述の「プラザ・アテネのシェフ・パティシエ」などただただ尊敬のまなざしで見てしまいます。それでも食べる側から見ると、「○○出身」がどれほど真実味があるかは実際にその方の作る皿の上でしか判断できないものなのですね。