事務椅子

映画「スウィング・ガールズ」で主人公がウィンドー越しにテナー・サックスを恍惚とした表情で眺めるシーンは、TVのコマーシャルでも流されていましたので映画を見ない方でも印象に残るところです。


昔の少年少女は誰でもこんな経験を持つものです。


いつまでも精神的には若い(幼い?)私は未だにこんなことは日常。結局物欲の塊なのであります。


お得意様でもある老舗の文房具屋さんのウィンドーにずっとある椅子が展示されていました。http://www.okamura.co.jp/product/office/seating/contessa/sp/index.html


椅子は大好きです。


この椅子が私にはウィンドー越しの憧れ。


「いいなー、きれいだなぁ、これなら腰の負担もなさそうだなぁ」
「でも高いなぁ、分不相応だなぁ、作家じゃァないんだから、板前の事務仕事用なんだから」


迷うまでもなく、とても板前風情が使う椅子ではありません。


ところが先日、店の前でこの文房具屋さんの社長にお会いしたときのことです。


「あっちの店閉めることになってねぇ。本店を充実させるつもり」と社長。


「えっ、じゃぁ、あの椅子は?」


「ああ、欲しい。安く分けてあげるよ」


「西日も当たってたから(と姑息な私)お安くネ」


という訳で、思いがけず分不相応な椅子がやってきました。


多分この椅子が使われている日本最小のスペース。最も貧相な場所ではないかと。


でも座り心地抜群。