半径50km

先日焼酎を探す過程で訪れた酒屋さんは、店から車で一時間ほどのところにあります。


その存在は以前から知っていたものの実際に伺ったのは初めてです。棚に並ぶ品揃えをざっと見れば酒屋さんのレベルは大概推し量れるものです。


焼酎は選ばれた数点のみ、もちろんレベルはかなり高いと見えます。日本酒はほとんどが冷蔵庫に並べれれています。しかもその品揃えには明確なポリシーがあることがわかります。


お話をお伺いすると、日本酒の場合「半径50km以内」くらいの蔵とのお付き合いを中心にしているのだとか。頻繁に蔵を訪れることができ、蔵からも常に直接コンタクトができる距離。


劇的な情報革命と流通革命が進む現在、力のある酒屋さんは次々と全国から新進の蔵を探し出そうとしているのに反して自店から半径50km。確かにいかに情報革命と流通革命があろうと、実際の人と人との繋がりがいかに大切であるかは私達はいつも身をもって体験しています。


冷蔵庫に並んだボトルには密接な人間関係からでなければもらえないようなものが並んでいます。


ご主人と様々なお話をしていると、確かに人間関係の信頼を大切にしていらっしゃる方であることがよくわかります。奥の冷蔵庫の中にはすでに廃業した蔵の大吟醸15年古酒などという逸品も。


すぐに「この秘蔵の一本、ください」とお願いするわけにはいきません。きちんと私ン処のスタンスもご理解いただいて「こいつならお酒を大事にしてくれそうだ」と信頼していただいてからいいものを頂戴できるようにしなくてはいけません。


じっくりと穏やかに。