ヴィレッジ

M.ナイト・シャマラン監督の映画「ヴィレッジ」を見にいってきました。


音楽も映画も、優れた作品は他作と比較して優劣を競うのは意味のないことです。


特にM.ナイト・シャマラン監督の作品は、いつも大ヒット作「シックス・センス」に比べてどうであったかを語りがちになってしまします。「シックス・センス」に比べてどんでん返しがどれほど刺激的であったか、どれほど恐ろしさを感じたか。どれも無意味です。


シックス・センス」の最後のどんでん返しがあまりに強烈であったために、そのために彼の映画がいつも存在するような考え方は浅薄です。


「ヴィレッジ」は「ヴィレッジ」で充分に存在感があって素晴らしい映画でした。


深い森に囲まれた小さな村は、「町」から離れ外の世界からは孤立して存在してた。村人たちは理想的な自給自足生活を営んでいたが、村人たちの生活は不気味な「掟」によって縛られていた。「禁断の森」には入ってはならない、「彼ら」が待っているから。「彼らの森」を侵さない限り危害は及ばない。「赤い印」はすべて消し去らなくてはならない。不幸な行き違いで重態に陥った恋人を救うために盲目の若い主人公は禁断の森を越えようとする。そこには。。。。


シックス・センス」以来、M.ナイト・シャマラン監督作品には日本恐怖映画にありそうな目をそむけるようなおぞましいシーンはないことを観客はよくわかっています。恐怖は見えないこと、理解できないことへの恐れであって、理由が明確になると恐怖は一気に軽減するのです。シャマラン監督は恐怖を煽ることも、物語を一気にひっくり返すような奇想天外なオチを狙うことも映画の目的にはしておらず、人間の愛情とか人々の信頼とかを描くための手段、伏線として使われるのです。そう考えると、この素晴らしい映画を充分に楽しむことができるような気がします。


ストーリーをしゃべってしまうことができない映画ですが、村人たちの服やベットのシーツの布の質感と、何度も登場する椅子が映画を象徴するようでいつまでも印象に残る映像でありました。


いい映画です。