ポンニチ

一日三食、人生で食べられるご飯の回数をを考えると一食一食をおろそかにできない、という方がいます。


同じように一生のうちで音楽を聴いていられる時間を考えると、つまらない音に耳を傾けるのは時間はないぞ・・・・などと私などは思ってしまいます。


できれば名盤を、できれば名演をと、CDやDVDは厳選したいと考えると、ポップスはいうまでもなく、ジャズでもクラシックでも、聞くべき日本人アーティストはかなり限定されてしまいます。


事実日本人の演奏は「ポンニチ」といって若干の揶揄も込めて言ったりするように、演奏が薄っぺらであったり物まねであることはもう悲しくなるくらいです。演奏技術は確かに素晴らしく向上しているのに、聞けばすぐに日本人であることがわかる辛さ、自分が物まねをしていただけに世界の壁の高さはよくわかります。


が、
先日お客様から頂戴したCDを聞いて驚きました。


朝比奈隆〜大阪フィル ブルックナー交響曲第7番ホ長調 聖フロリアン寺院録音


ブルックナーの7番をこれほど荘厳で清澄に感じたのはのは初めてです。なんと素晴らしい演奏か。


これはポンニチを越えて世界に通用するブルックナーです。


もちろん朝比奈隆さんのブルックナーが素晴らしいということは聞いてはいたのですが、日本人の演奏を聞くならもっと素晴らしい録音がいくらでもあるじゃァないか(プロムシュテッロ〜ドレスデン、マタチッチ〜チェコなんて)・・・とたかをくくっていたのが事実です。全くお恥ずかしいお話です。


なにより、これまでクラシック話など一言もおっしゃらなかったお得意様が板前の心情を見透かしたようにこういうCDをくださったことに冷や汗がでます。半端な知識を振り回す私のようなお調子者こそがポンニチでありました。