褒め上手

「昨日の三河産鰯、よかったよぉ。久しぶりだね、あれくらい鮮度のいい鰯は」と私。


「ありがとうございます。クレームつける人は多いんですが、褒めてくれる親方は少ないんですよねぇ」と魚屋さん。


そうか。案外盲点。


私などいいものは褒めてナンボ・・・・と思うほうですので、褒めない人が多いというのは意外でした。


TVなどでよく「こだわり」の仕入れをする店として取り上げるのは、「気に入らない食材は突っ返す」という厳しい姿勢です。もしかするとクレーム連発の店かもしれません。見る目と厳しい姿勢が仕入れ業者に緊張を伝えるような気がするかもしれませんが、考えてみると突っ返して即いい材料に交換されるようならなめられてる店としか思えません。


最初からその日の一番の品物を紹介されないようなら、値段的に無理を言っているか、見る目そのものを信用されていないか。


どれほど年齢を経ても、社会的地位が上がっても褒められるのは嬉しいものです。「私の仕事を理解してくれるこの人には手を抜けない。この人にはいいものを」と思うのが人情だと思うのです。


実際、私自身が店でお客様に対していつもそう思うほうですので、できればお付き合いのある仕入れの方々にもそういう風に接したいものです。


だいたい、いつもクレームつけなければならないような力しかない業者であれば、お付き合いしないのが当たり前、そんな業者を選んだ自分が悪いのです。


褒めるときは二倍に、クレームは的確に、でも相手の状況を思いやって。


なんて理想なんですが相手はどう感じているのやら。


以前ある酒屋さんに「親方ン処は絶対無理を言わない店ベスト3に入ります」といわれたことがあります。


ということは、ただの気弱で軟弱なヤツってだけのこと?